雨宮加恋は普通の大学生。
コンビニでアルバイトをしながら、コツコツと家の家賃を払ってくれている。
もちろん、親が出してくれないわけでもない。
加恋が「私ももう大学生なんだから!自分でお金をためて家賃を払うわ!」
といったからだ。
とはいうもの、全額払っているのではなく、3分2近く親が出してくれている。
けれども、だからと言って良い家に住んでいるのかと言えばそうじゃない。
私はどこから見てもオンボロな「おんぼろアパート」に住んでいるのだ。
一応5階まであって、各回3号室まである。
しかし人気がなくて空き家も多い。
私は502号室。「〇号」の〇の数が少ないほど部屋の数が多くて家賃が高くなるのだ。
501号室には一歳年下の女の子、嘉代が住んでいる。
そんなある日私は、嘉代と学校帰りにあった。
「そういえば、嘉代。引っ越すっていう噂があったけど本当?」
私は気になったことを言ってみた。
「あ、そうなんですよ、先輩。引っ越すことにしました」
嘉代はおんぼろアパートからついに脱出できたのか。
「遠いところに引っ越すの?」
「いいえ、今住んでるところと結構近いです」
決まりだ。遠くに引っ越さないのに。家を引っ越すということは…。
私は友達がいなくなるようで、少し悲しかったが満面の笑顔を作っていった。
「そう。おめでとう!ついにおんぼろアパート脱出だね!私も頑張らなくちゃ」
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すると嘉代が首をかしげた。
「先輩。いったい何のことですか。私、引っ越しますよ。503号室に。
1号室は家賃が高いんですよ~」
嘉代は笑いながら加恋に目を向けた。
加恋は自分の思い違いに恥ずかしくなった。
※ここに出てくる個人情報(名前やマンション情報)は全て、でたらめです。
※これはフィクションです。実話ではありません。