「う~ん。やっぱ、これ?いや、でも、これ古いし。やっぱこれ?あー、でも前回もこれだからなあ。これ?あ、破けてる。ああっ!これだ!…新品だからいいじゃん」
1時間以上迷った末に加恋は、ついに一着のコーデを作った。
加恋はけしてデザイナーではないし、デザイナー関係の仕事でもファッション関係の仕事でも全くない。
加恋は、まだ高校3年生だ。
加恋は今日、カレと会う日なのだ。
カレとは遠距離恋愛になっていた。
もともと同じ中学だっただカレがどうしても行きたい学校だあるといい、ほかの県に引っ越してしまったのだ。
それでも私たちは電話やメールをして日記交換などをしていた。
実際にこのカップルは学校誰もが認めるナンバーワン・お似合い仲良し恵まれカップルと言われていた。
そんなカレが会いに来たというのだ。
「あー、もう!1年も会ってないし、1か月間メールもできないし。はやく、旭君にあいたいなあ」
実は彼は大好きだったおばさまが亡くなってしまい、加恋にこう連絡をしてきた。
「加恋。1日前、おばさまが亡くなられた。本当に申し訳ないが、心を落ち着かせたいからしばらく連絡はできない。ごめんな」
加恋は旭がどれだけおばさまを好きだったか知っていた。
だから、そっとしておいた。
私は時間通り〇△公園の真ん中の木の下に来た。
するともう旭らしき人が来ていた。
あ、旭、みーつけた!
ああ、もう!もう来てるなんて。
私は足を急がせて旭の方へ行ったわ
「旭!お待たせ」
すると旭は目を見開いたの。
「誰…?」
「え?どういうこと…?うそでしょ…?覚えてないの?旭の正真正銘の彼女だよ!」
私は必死になって訴えた。
すると、旭が言った。
「ごめん。実は僕、交通事故で2週間前に記憶喪失になったんだ。今日、僕の部屋に『あさひくんへ。3時〇△公園の真ん中の木の下で』ってあったから、来たんだ。」
「うそ…でしょ?」
でも、全てあってる。ちゃんと私は旭にメモの紙を手紙として渡した。3週間前に。
2週間前だと私たちが連絡つないでいないときのことだ。
私は旭と一緒に崩れ落ちながら泣いた。
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「なにしてんだよ。加恋」
10分ほどして誰かに声をかけられた。
「だ、誰…?」
私が見上げると
「旭!?…二人?」
すると、今来た旭が言った。
「俺が旭。こいつは朝陽。俺の弟。2週間前に記憶喪失になった。それだけ。ちなみに、俺と朝陽は同室な。病院行ってたんだ。遅れてすまない。」
つまりこういうことだ。
朝陽は手紙に「あさひくんへ」とひらがなで書いてあったため自分のことだと勘違いし、加恋は朝陽を旭だと思い込み、旭は約束に遅れた。というわけだ。